定義
「いるもの」と「いらないもの」にわけ、「いらないもの」を処分すること。
いらないものとは
「いらないもの」には、次の3種類があります。
①明らかにいらないゴミ・廃棄物
②そこにあるとじゃまなので、除去・移動してほしいもの
③いるのかいらないのかわからず、使われないまま長く置かれているもの
②と③については、赤札(不要品票)を現物に貼ることにより識別します。
赤札基準表
③で「長く置かれている」という基準はあいまいで、人によって解釈がぶれますので、下図のような「赤札基準表」をつくり、この基準時間をこえて使っていないものには、自動的に赤札を貼り付けます。
赤札作戦
いらないもの②③に、全員が参加して、赤札をはっていきます。事前に、下図のような赤札の書き方を教えます。間違えて、いるものに貼っても大丈夫です。2次、3次判定者がいますから。協力に感謝して、職場をスッキリさせていきます。
赤札一覧表
赤札は現物に貼りますが、その前に「赤札一覧表」に転記しておきます。
赤札品判定
赤札品は1カ月以内に最終処分判定しなければなりません。はった人はすぐ2次判定者に連絡し、2次判定者は自分の判定を書いてすぐ、3次(最終)判定者に連絡することが大事です。次の写真は、最終判定者(部長)を赤札品の前に案内して、その場で判定を記入してもらっているところです。
赤札市
廃棄するしかない赤札品(不要品)は、最後の引き取り手を求めて、置場を決めて公開します(赤札市)。それを活用したい人は、出品者に断って引き取ります。社内ネット(イントラネット)で赤札品の写真を公開している会社もあります。
次の写真は、工場内で出た不要品の赤札市を行っているところです。
留意点
5S参考書・手引きとして、下記の拙著『究極の5Sツール活用集』(新技術開発センター)をおすすめします。このなかで、整理の留意点を述べたところ(P.69)を引用します。
ステンレス製の洗浄用カゴ(10万円)に赤札を貼った5Sリーダーと社長の会話を、筆者はそばで聴いていました。
「どういう基準で赤札を貼ったの?」「私が入社して以来4年間一度も使っていないので貼りました」「高価でまだ使えるものは勝手に捨ててはいけない。とっときなさい」「すみません」。
これで5Sは終わりだと思いました。
続いてこの失敗談の教訓が4つ書いてあります。
①赤札を貼る基準の社内合意形成
→事前によく説明し、赤札基準表に社長承認印をいただく。
②赤札を貼ることの意味の明確化
→赤札貼付=廃棄処分とは限らない。いろいろな選択肢がある。
③社長が”俺がルールだ”を始めると、社員の自主性は育たない。
④不要品を発生させた反省・対策がおろそかになる。
この教訓を活かして、5Sの最初の入り口に控える「整理」という”難問”を、スムーズに突破していただきたいと、切に願うしだいです。