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Visualization④ 目標管理とISO目標

ISO9001品質目標

ISO9001の認証取得指導や審査員をやっていたころ、組織が掲げる「品質目標」として、つぎのような事例にお目にかかりました。

スローガン(標語)と目標をわける 正木英昭 マサキ経営 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング 生産管理改善

スローガンを目標と勘違い

①「警備の強化」(上図左側)

 

②「不良撲滅」(上図右側)

これらは、目標というより、”スローガン”(あるべき方向・あるべき姿)といった抽象的な概念で、”方針”に近いものです。

ですからそれを掲げるのはよいのですが、それだけでは具体的なactionに結びつきません。

スローガンに血を通わせる

上図に掲げたように、方針を達成するための具体的な目標として、つぎのような設定例を紹介しています。

「警備の強化」目標設定事例

①「警備の強化」→「月当りヒヤリ・ハット回数を、前年度月平均回数より30%削減する」

「ヒヤリ・ハット」とは、実害には及ばなかったものの、一つまちがえたら危なかったという事象です。これを回数重ねていくうち、実害につながる確率が確実にふえていきます。

ですから、「ヒヤリ・ハット」の回数をへらすということは、それだけ実害もへらすということにつながるのです。

たとえば、「窓の鍵のかけ忘れ箇所」などの「ヒヤリ・ハット」事象発見回数をへらしていけば、「警備の強化」は着実に達成されていくでしょう。

「不良撲滅」目標設定事例

②「不良撲滅」→「不良損金(手直しを含む)を、前年度月平均より20%削減する」

「不良撲滅」(=不良ゼロ)は永遠の課題です。言葉を変えれば、”永遠に達成できない課題”です。そんな方針を掲げるのは結構ですが、目標達成上はトンデモナイコトになってしまいます。現場は大混乱です。1件不良を出した瞬間に、目標未達になって、怨まれてしまいます。

前期より不良をへらすという目標設定が現実的です。これを月々の設定目標に落としこみ、毎月その目標達成に向けて努力していきます。ここまでしてやっと、目標管理は生きたものになり、全員のベクトルをそこに向けることができます。

「医療ミス低減目標」は成り立つか?

しかしここで、私の中産連時代の同僚が発表していたことを思い出しました。彼はある医療機関病院)のISO9001認証取得支援をしていたのですが、そこは品質目標として、「医療ミスの低減=現状の30%減」を当初考えました。

しかし社会的にはあってはならない(実際は撲滅できない)医療ミスを認めるように思われることから(ここで、発表を聞いていたConsultantたちから笑い声)、その病院は品質目標をもっと”無難なもの”に変えたとのことでした。まあ賢明で現実的な判断でした。

なぜISO目標を特別なものとして切り離すのか?

ISO9001認証取得支援・審査を通じて私が感じたことは、「品質目標」を組織の「目標管理」と切り離していることの不自然さ、効率の悪さです。なぜ組織の目標管理のなかに「品質目標」を取りこまないのかと。

これはISO14001(環境)など他の規格の目標についても同じです。全部正規の目標管理の一部としてとりこみ、一体化させればよいと思います。切り離すこと自体が何か”不自然な作為”を感じてしまうのです。

ISOに関わったものとして、こういうのはなんですが、規格を打算的・惰性的に維持するくらいなら、早く”卒業”ないし”返上”してしまえばいいのになあと。

そして維持活用したいなら、「組織の目標管理制度にしっかり一体化せよ」と、こう主張したいのです。ISOの目標も仕事の一部になり、人事考課の対象になりますから、ISOは単なるおまけ・かざりではなくなります。

こうしてISOもケジメをつけていただきたいと私は願います。

審査員の指摘には限界がある

ちなみに、ISO審査員の立場では、「ISOの目標」と「組織の正規の目標管理」とが、別立てになっていようと、乖離していようと、何も言いません(言えません)。彼らは規格に対して適合・不適合を判定する立場なので、そこまで身を入れたadviceは、職務上できないのです。

それを錦の御旗にして、審査員が何も言わなかったので、ISOに適合していると思いこむのは、”身勝手解釈”というものでしょう。

今日の結論です。

ISOを活用したいなら、組織の目標管理に取りこめ。

見える化 全般⑰ よい図解資料のポイント diagram data

図解資料とは5S 見える化 コンサルティング

以前のブログで、次の図を示しましたが、個別資料としての「図解資料」の説明をここで行います。

見える化ボードにはる資料は、文書ではなく、図解資料です。読まなくても見れば直感的、瞬間的にわかる内容をもった資料です。そのため表現の工夫が必要です。

図解資料  マサキ経営 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング 見える化 全般

その一つが以前お話ししたデザインパターンであり、もう一つはここでご説明するグラフです。

グラフは、次の4つが代表的なもので、これでほぼまにあいます。

グラフ マサキ経営 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング 見える化 全般

下の写真は、工場の「在庫削減プロジェクト」を支援したとき、メンバーが作成した折れ線グラフです。仕掛品在庫高と材料在庫高の推移を毎週プロットして推移を示し、半年後の目標在庫高が赤線で記入してあり、このクリアを目指します。

月2回関係者が集まって、このグラフを見ながら、対策を協議した結果、みごと全部署が目標を達成しました。グラフという見える化のパワーを思い知りました。

折れ線グラフによる週別在庫高推移グラフ マサキ経営 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング 見える化 全般

図解資料作成上のポイント5S 見える化 コンサルティング

ではこれらの図解資料を作成する上でのポイントを、細かいところまで学びましょう。まさに「神は細部に宿る」(God is in the detail)ですから。

図解資料のできばえを、評価できる「図解資料評価表」(以下)を用いて、細かいポイントまでおさえましょう。

図解資料評価表 マサキ経営 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング 見える化 全般

①大きさ:A3かA4

 

②表題:適切な表現で、字も十分大きい

 

③目的:最初に記入してある

 

④作成者・作成日:欄があり、記入している(必要に応じて確認者・承認者も)

 

⑤構成・流れ・デザイン:わかりやすい

 

⑥図、表、写真、絵を用い、わかりやすく表現されている

 

⑦色:数・使い方が適切でわかりやすい

 

⑧文章:最小限におさえ、簡潔で箇条書き

 

⑨問題点・原因:うきぼりになっていて、それが「問題対策表」などにつながっている

 

⑩関連情報:モレなくわかる(データ収集対象・期間・条件、協力者、特記事項など)

指導したなかで感じた注意点をいかにまとめました。

①大きさ:A4ヘの統一はかなり進んできましが、A3はもっと活用されてもよい。A4何枚かに分けてかくよりも、A31枚にまとめた方が見やすい。

 

②表題がない文書がまだ結構あります。それだけで図解資料失格です。

 

③目的をまず最初に記入します。これが習慣化したらしめたものです。たとえば在庫削減グラフの目的「不要な在庫を削減して利益の向上を図るため」と書けば、「在庫=罪庫であり、利益をムダ食いしている、早くなんとかしなくては」という行動の起爆剤ともなるのです。

 

④作成者・作成日の記述がない文書が多すぎます。これもたまに来るコンサルタントが口をすっぱく言ってもらちがあきません。管理者が日常的に言い続ければ、どんな横着者でも100回目くらいであきらめてくれます。企業文化にしましょう。

 

⑧文章を箇条書きにする習慣も大切です。だらだらした文章を読まされる方はたまったものではありません。お互いの時間を節約しましょう。

 

⑨見える化ボードには必ず「問題対策表」をはります。見える化してうきぼりになった問題点や課題の展開先として。

 

⑩データには必ず収集条件を記入します。「〇〇工程で、6月1日から30日の夜勤時間帯で収集」などです。これがないと判断を誤ります。

いかがでしょうか。このような小さなよい習慣の上に、見える化が花開くのです。