現場改善

定義:

現場とは、「仕事を遂行する最前線の環境と行動」のことです。現場改善とは、「それをより良い方向に変えていく活動」です。5Sや見える化も、広い意味では、現場改善の一部です。現場には、工場などの生産系と、オフィスなどの事務系に大別されますが、ここでは生産系についてご紹介します。

種類:

生産系の現場改善について、ここでは次の3つを対象テーマとして取り上げます。

レイアウト

 

段取替

 

設備保全

レイアウト:

レイアウトとは、主として工場・倉庫の構造、物品と人の配置を指します。
構造とは、出入口、防火・防振設備、安全避難設備、空調設備、照明設備、昇降設備、電気・情報・エアのケーブル・配管機器、床、パーティション(壁)のことです。

物品とは、機械・装置、棚、机・台、原材料、仕掛品、完成品、不良品、治工具類、消耗品、運搬機器、パレット・容器類、ユーティリティ、消火器、パソコン類、清掃用具、ゴミ・廃棄物などがあります。

には、現場作業者(オペレーター)、運搬作業者、管理・監督者がいます。

これらの変動する種々雑多な要素の最適配置・組み合わせを設計し、運用し、非常時に備えて「安全第一」で対応していく活動の難しさは、並大抵のものではありません。レイアウト改善の重要性がここにあります。IEなどの手法も活用する必要もあります。

多くの生産現場で見られるレイアウトの実態は以下のようなものです。2つ以上思い当たることがあれば、活動を立て直さなければなりませんね。

①非常口や安全避難路内に物が置かれたり、消火器がすぐ取れないなど、安全上の不安がある(単に躾だけではすまない、レイアウト上の問題があるかもしれません)。

 

②人や物の動線が複雑で、交差したり、行ったり来たりしている。

 

③ドアや壁、障害物があるため回り道するなどのムダがある。

 

④飛び地、離れ小島があるため、管理上、物流上のムダがある。

 

⑤工程順に並んでいないため、小ロット生産する上で支障がある。

レイアウト改善 マサキ経営 現場改善

詳細は「レイアウト」のページをご覧ください。

段取替(切替)

段取替(切替)とは、「つくる製品を切り替えるとき、機械・装置を次の製品に適合するように切り替えること」です。適合するとは、不良品を出さないで、安定生産できる条件設定をいいます。段取替のポイントは次の3点です。

短時間:所要時間は短いほど良い。そうすれば、生産にあてる正味時間がふえます。段取替時間が短ければ、生産ロットを小さくすることができ、つくりだめの弊害を避けることができます。実はこれが時間短縮の真の目的です。

まず半減(50%減)を狙います。私(正木)の指導経験では、大型工作機械でも、現場が改善に慣れてくれば、着手後2~3カ月で半減できるようになりました。しかも設備投資なしにです。やらない選択肢はないでしょう。

省労力化:仮に時間が短縮されても、重筋肉労働が残っていては、段取替は成功したとは言えません。構造改善・自動化・省力化・安全化により、徹底的に省労力化を図ります。

熟練度不要:従来男性社員の独壇場であった段取替を、女性パート社員にもできるようにするのを目標にします。また非正規社員や未熟練社員でもできるようにします。

このことは段取替に限ったことではなく、現場作業全般に言えることです。

日本の生産現場はいまだに、特定の個人に職人芸的なスキルを依存している場面が多く見受けられます。たった一人しかできない綱渡り的作業も残っています。早くそこから脱却したいものです。

段取替改善が時間短縮目標を達成し一段落したら、経営幹部・関係者の前で「公開段取替」を実施し、改善の労苦をたたえ、さらなる挑戦意欲を鼓舞することをお勧めします。

詳細は、「段取替」のページをご覧ください。

設備保全:

設備保全とは、「設備をいつでもフル能力で稼動できる状態に保ち、トータルコストを最小化する活動」です。トータルコストとは、設備の購入、保全(メンテナンス)、修理、追加工事から廃棄に至るまでにかかるすべてのコストのことです。

したがって、メンテナンスコストが大きい設備を無理やり使うよりも、それが小さい設備に買い替えるという選択肢も、設備保全に含めます。管理会計の損得計算上、すでに買った設備のコストは、埋没コストとして損得の判断に入れないようにすることがポイントです。

多くの生産現場で見られる設備保全の実態は、以下のようなものです。2つ以上思い当たることがあれば、活動を立て直さなければなりませんね。

①いつどんな異常・故障があったのか、いつどんな修理をどこがいくらでしたのかがわからない(設備台帳がない)。

 

取扱説明書をよく読んでいない。とくにメンテナンスの項目を。

 

予備品・消耗品をどれだけ持つのかルールがあいまいで現場任せ。

 

日常保全の内容が適切で、その通り現場で実行されているかどうかがわからない(管理者立ち合いルール・習慣がない)。

 

定期保全の内容が適切で、その通り現場で実行されているかどうかがわからない(管理者立ち合いルール・習慣がない)。

 

業者保全の内容が適切か、自分たちでもできる部分があるのかどうかがわからない(業者保全明細書がないか、解析していない)。

中小企業は特に、④⑤が脆弱なところが多いので、忙しい管理者の代わりに工場長、時には社長が立ち合うほどの重要性があると思います。そのことで逆に、設備保全の重要性が現場に浸透するのです。

詳細は、「設備保全」のページをご覧ください。