定義
いるものを定置する。定置とは、「置き場・置き方・表示」の3拍子揃った置き方をいいます。
整頓の対象は、物だけではなく、情報も含めます。ですから、タブレット、パソコン、サーバー内の情報も整頓し、いつでもすぐ取り出せるようにしておきます。
置き場
置き場のポイントは、「使用頻度の高いものほど近くに置き、低いものほど遠くに置く」です。このため、次のようにものを分けて置きます。
①常時使うものは、身につけるか、すぐ取れるところに置く。
②時々使うものは、職場内(10秒以内)に置く。
③たまに使うものは、共通置き場(1分以内)に置く。
④めったに使わないものは、職場外や倉庫に置く。
上の写真は、上記①に該当します。段取専門者が、段取替に必要な工具類を身につけて、すぐにとれるようにしています。
置き方
①荷姿:段ボール箱をやめ、通い箱に切り替えていくのがポイントです。下の写真は、小物部品の荷姿を、ビニール袋に変え、工場とメーカーの間を往復するよう改善した例です。
この改善のメリットは、次のように大きなものがあります。段ボールの使用は減らしていきましょう。
①段ボール箱をやめれば、紙資源の節減ができる。
②段ボールの開梱、処理の手間がなくせる。
③ロットの大きさを自由に、小さく決められる。
④在庫数が一目でわかる。
②固定ロケーション
固定ロケーションとは、取ったものを、使用後同じ位置に戻す置き方です。下図にその事例を2つ示します。ポイントは以下の通りです。
①棚の名称と管理責任者名を表示する。
②現品の近くに品名を記入する。上下がわかりにくいときは、↓↑で表示する。
③棚の上は原則物を置かないが、軽いものを置くときは↑で示す。
④同じものを複数置くときは、その数を表示する(✖2のように)。
⑤戻しやすいように、その位置に姿絵や写真を表示すると良い。
下の写真は、専用工具を、設備の使う位置近くに定置した事例です。いざという時すぐ使えるのでお勧めします。ただし、なくさないようにしっかり定置します。
③自由ロケーション
自由ロケーションとは、資材倉庫のように、原則元に戻さないときの置き方です。固定ロケーションとの違いは、置き場所が変わることです。売れ方の変動に合わせ、品目や在庫量を柔軟に対応させたいからです。
置き場を変えるときは、棚マップも変えることをお忘れなく。
自由ロケーションの棚(上図)のポイントは以下の通りです。
①自由ロケーション棚全体のレイアウト図を、入り口に表示する。
②それを見て、欲しいものの大項目(配管接手)と、棚番号(6)を確認して、そこに直行する。
③その棚に行ったら、棚マップを見て、欲しいもの(ティΦ10)がどの番地(B-3)にあるかを確認し、その棚から現品を取り出す。
棚の数が多いときはこのように、現物を見ないですぐ取れるように、案内板・棚マップを充実させます。
自動倉庫も自由ロケーションの棚ですが、極力使わないことをおすすめします。在庫を減らすという観点からは、諸悪の根源になりやすいからです。
④表示
表示のポイントは以下の通りです。
①位置、大きさ、色、材質、方法の順に、表示を決めていきます。
②法的規制で、表示の仕方が決められている場合があります(特に安全関係)。
③表示方法とは、貼る、掛ける、吊るす、立てる、描くなどから最適なものを選びます。
④貼る場合は、ハガレ対策が重要です。
上の写真は、1本1本のゲージに表示した例です。当たり前だと思われるかもしれませんが、5Sをやる前は、1本1本見ながら探していたというのです。
5S活動は、きちんと時間をとって、皆で改善することをオーソライズ(公認)するという意義があります。
オフィス(事務所)の整頓
オフィスの整頓は、紙情報(文書)とデータ情報、備品が主な対象です。
①紙情報(文書)の整頓
2穴式ファイルから、バーチカル・フォルダーに切り替えるのを原則とします。2穴式ファイルは、マニュアルや標準書のように、ページが連続する文書に限定し、記録類や帳票類は、バーチカル・フォルダーとフォルダー・ボックス(フォルダー)方式に切り替えます。
日本のオフィスの生産性が、先進国のビリを長年続けている理由の一つが、2穴ファイルにもあると思います。
上の写真は、私(正木)がかつて務めていた、中部産業連盟東京本部の書類棚です。「フォルダー方式に切り替えなさい」とクライアントにすすめる以上、自分たちがやっていないと示しがつかないわけです。
キャビネットから扉を撤去するのも常識です。開け閉めの時間がムダになります。扉をとれるか取れないかは経験上、5Sの成否を左右するほどのバロメーターです。つまり本気で、意識や行動を変えようとしているかいなかが問われるのです。
②データ情報の整頓
個人のタブレット、パソコンを仕事に使うのをやめ、主記憶装置のないものを支給し、すべてサーバー経由で仕事をする。セキュリティ・ソフトウェア対策も含め早くそちらへ移行していただきたいものです。
紙とデータをどのように保管管理するか、以下にフロー図でまとめました。
③備品管理
オフィスには様々な消耗品と備品があります。備品は、書く、消す、切る、貼る、穴をあける、止める、計るなどに関わる道具類です。これらをどこまで個人が持ち、どこまで共通で使うかを決めます。
個人もちは極力やめ、将来のフリーアドレス化に備えるのがよいでしょう。
共通備品は下の写真のように、まとめ置きして皆で使うようにします。