親しい人との死後の関係

私がもっとも尊敬し、信頼する霊能力者が、ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner,1861-1925)です。

この世でとくに親しい関係を築いた人たち同士は、死後どのようになるのかを、シュタイナーはつぎのように述べています(『神秘学概論』ちくま学芸文庫)。

①この世で深く結ばれあった人たちは、霊界においても再会し、その結びつきを継続する。

 

②つまり死後は、この世にいたときよりも、はるかに深く結びつく

 

③なぜなら、霊となった人たち同士は、互いに相手の内部を通して結びつきをあらわすからである。

 

④そして、二人の間でおられた絆は、つぎの人生においても、その二人を再び結びつける

この世で会う人のなかには、関係が深まって成熟し、あの世でもまた人生をともにしたいと、心から願うような人と、その正反対の、できたらすれ違いたくもないくらいのいとわしい人とに分かれてしまいます。

前者とは、また再会し、つぎの人生もともにできるという確信を深められましたし、後者も反面教師として、自分を鍛えてくれる何らかの役割を果たしてくれているのだと思います。自己の鏡として。

あの世では、前者や波長の合う人(霊)たちに取り囲まれますので、後者とのお付き合いは、この世だけの独特な人格錬磨機能といえます。その意味では貴重なのです。

そしてこの世でつくったカルマ(運命)の改善については、つぎのように述べています。

①死後人間の魂は、浄化の時期を通過し、前世に行った行為が、人格の発展を妨げているのを体験する。

 

②反省材料を提供してくれるという意味で、この世で体験することのすべてが、有意義であり、真実である。

 

③これを体験した人の心の中に、その行為の結果を改善したいという衝動が生み出される。

 

④この衝動は、新しい人生(来世)のなかに持ちこまれる

 

⑤その改善を可能にする場所・環境に身を置こうとするように導かれる。

 

⑥したがって、このような輪廻転生だけが、この世の今の人間の生活を、どんな角度から考察したときも、納得のいくように説明してくれる。

これらの霊的事実は、とくに目新しいものではありません。真の実力がある霊能力者たちはみな、同じことを言っています。私にとっては、読むたびに確信を深めていくだけです。

そしてこのような霊的な認識があるがゆえに、あの世でよりよく生きるためには、この世で何をすべきかの実行課題が浮かび上がってくるのです。

逆に言うと、霊的な認識もなく、この世だけ的な刹那的意識で終始してしまうのは、貴重な人生の無駄遣いです。この霊的認識については、科学的なevidenceはありません。信じるかどうかだけです。ですからある意味、「宗教的」なのかもしれません。

このような読書経験を経て、皆様の霊的認識が深まり、有意義な人生航路に役立つことがあれば幸いだと思います。