改善・改革㊲ 高齢者の機能低下 Senior problem

高齢者の身体機能の衰え5S 見える化 コンサルティング

管理者、安全管理に携わる方はぜひ、谷村冨男『ヒューマンエラーの分析と防止』(日科技連、1995年初版)を読んでいただきたいと思います。その中から、高齢者(55~59歳)の身体機能の衰えについて学びましょう。

この年齢は今日はもはや高齢者とは言えず、70歳定年が検討される時代になっています。ですから高齢者の身体機能低下の認識はますます重要になってきました。

下図をご覧下さい。斎藤一『労働の科学』(労働科学研究所)の資料からの引用です。

身体機能の最高期(20~24歳)を100として、高齢者(55~59歳)の機能がどれだけ落ちているかを%表示して、レーダーチャートで示した図です。

最高期と老齢期の体調比較 マサキ経営 正木英昭 5Sコンサルティング 見える化コンサルティング

高齢者身体機能低下ワースト55S 見える化 コンサルティング

これを見ると、もっとも減退する身体機能のワースト5は以下の通りです。

①夜勤後体力回復:27%

 

②皮膚振動覚:35%

 

③薄明順応:36%

 

④聴力:44%

 

⑤平衡機能:48%

平衡機能の衰え5S 見える化 コンサルティング

⑤平衡機能の衰えについては、姿勢をくずしやすい無理な姿勢が、転倒、転落、墜落災害につながります。ですから、高齢者に次のような作業をやらせるときは、とくに注意が必要で、できるだけさけることが肝腎です。

・無理に体をひねってやる作業

 

・足場が狭く作業動作がとりにくい作業

 

・足場が悪く左右の足のバランスがとりにくい作業

 

・上を向いて行う手作業、など

要は高齢者に、足場作業や高所作業はやらせないにこしたことはありません。

薄明順応力低下5S 見える化 コンサルティング

③薄明順応力低下については、薄暗い環境下での作業が危険性をはらむということです。高齢者の作業環境を明るくすることが肝要です。

作業標準書も読みにくくなっていますので、次のような配慮が必要です。

・絵や写真や動画など、一目でわかるビジュアルな見せ方を基本とする。

 

・一覧表など、表形式で見やすくする。ただしスペースの余裕は十分とること。

 

・文字は大きく、文章は簡潔にわかりやすい表現で書く。

 

・外国人がいる場合は、必ずその母国語でも表記する。

 

・極力1枚にまとめる。A4がむりならA3にて。

聴力低下5S 見える化 コンサルティング

④聴力の衰えも顕著です。微妙な音を聞き分けることが必要な作業からは外すことが肝要です。とくに高い音から聞こえにくくなってきますので、要注意です。

夜勤後体力回復能力の低下5S 見える化 コンサルティング

①夜勤後体力回復の遅れは顕著です。「夜勤、残業はさせない」を原則にしたいものです。

以上、70歳までケガなく事故なく、健康に働くための知識・ポイントをおさえておきたいものです。