Case study㉗ コロナショックを勝ち残れ Overcome Corona!

歴史の中で、いつの間にか消えてしまう成功事例があります。今日ご紹介するのもそんな事例の一つです。

ドルショック(1971年)のことですから、もう半世紀前の話です。私の務めていた日本鋼管(その会社ももう消えてしまいました)の社内誌「こうかん」(1979年12月号)に、豊沢豊雄氏(発明学会会長)が投稿された記事があります。

会社を救ったエクボライン
5S 見える化 コンサルティング

以下の写真「エクボライン」というコップの成功事例です。この話の主人公「下谷ガラス」はもはや、検索にかからない消えてしまった会社です。

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この話を事例研究として以下の文を読み、以下の課題について考えてみましょう。

ドルショックのときのことである。アメリカにガラスコップを輸出していた下谷ガラス(株)は、輸出がばったりととまってしまった。

 

そのとき、社員たちが数年前から提案制度でアイデアを出していたエクボラインというコップが、脚光をあびてその会社を救った。

 

それはコップの口を斜めにし、親指のあたるところを凹ませた、細長いコップである(写真)。

 

それを米国人に見せると、「いまから3年間、値段をさげないのだったら、大量に輸入しましょう」といってくれた。

 

なぜなら、日本の商品は安くて形が面白い。しかし、半年もすると、同じものが半分くらいの値でどんどん入ってくる。すると、先に高い値で買っている人は、たまったものではない――という理由からである。

 

さいわいにも、下谷ガラスでは、このコップを実用新案に出してあるので、誰もまねることはできない。したがって、絶対に値段を下げないと約束をしたので、高い値段で、100万ダースから輸出され、かえって大繁盛した。

課題
5S 見える化 コンサルティング

◇課題1:ドルショックから半世紀、いまはコロナショックの真っ最中です。存亡の危機にある会社も少なくないと思われますが、あなたの会社は、なにか手を打っていますか?

 

◇課題2:提案制度は、「実質的な経済的効果はなく、従業員のモラールアップが主目的だ」という意見もありますが、あなたはこの説に賛成ですか?

 

◇課題3:デザインの新奇さ・面白さが、商品価値を上げるケースは昔からわかっていることですが、あなたの関わる事業では、それが追究されていますか?

 

◇課題4:価格競争だけだと、やがてたたき合いになり、疲弊したあげく撤退する路線が見えています。やはり、デザインやその他何らかの「差別化」が必要だと思います。
あなたは自分の事業にどんな差別化を付加しようと考えていますか?

 

◇課題5:いったんは大成功したこの会社も、いまは検索にもかかりません。一発当てただけではだめで、継続的に付加価値を与え続けなければ、生き残れません。そのような対策を、あなたの会社・事業は実行していますか?

「諸行無常」ではすまされないのが、ビジネスの世界です。コロナショックという全人類の直面する危機をのりこえて生き残るために、今何を実行しているかが厳しく問われているのです。