トイレを清潔に美しく保つ5S 見える化 コンサルティング
トイレを清潔に美しく保つことは、「良い環境が良い心を育てる」という意味からも重要なことです。逆にいうと、トイレを見れば、その職場の人たちの「心が透けて見えるバロメーターになる」ということになります。
清掃を行う人は5S 見える化 コンサルティング
この大事な5Sのポイントであるトイレですが、実際に清掃を行うのは、次の3つのパターンがあります。
①職場の従業員が行う
②パートタイマー従業員が行う
③外注業者が行う
私は中小企業の工場を主体に指導してきましたが、①:②:③の比率は、だいたい4:5:1くらいです。外注業者にトイレ清掃を委託するケースが意外に少なく、最初は外注であっても、5Sが進んでくると自分たちでやるように切りかえるケースもありました。
パートタイマー従業員の場合の注意点5S 見える化 コンサルティング
パートタイマー従業員とは、いわゆる「そうじのおばちゃん」のことで、雑務のかたわらトイレを含めて清掃をしています。どこをどのように清掃するのかといった細かいことまで言わず、お任せで丸投げしてしまうことが多いので、5Sが進んでくると不都合が出てくる場合があります。
たとえば、ある工場の食堂の天井にクモの巣がありました。5S巡回時にそれを指摘すると、5S責任者(食堂はだいたい総務管轄)はムッとしたような顔をして、言い訳をしました。「そこまで言うのか?しかたないじゃないか」といったニュアンスです。
それをそばで聞いていた当の掃除のおばさんは、はっとしたように、不備に気づいたようでした。たしかに総務の担当者からは、そこまで清掃するようにとは何も聞いていなかったのですが、クモの巣が食堂に張っていて良いわけがない、と。
後から見たらクモの巣は、ちゃんと取り除いてありました。5Sを進めていくと、「良い環境づくり」のハードルはしだいに上がってくるものです。それまでは「まっ、いいか」ですんでいたことも。
今後このおばさんは、天井を見上げてチェックする習慣が身についたと思います。一件落着ですか? いえ、しつこいようですが、このおばさんがやめた後、次に来るおばさんはまた一から出直しです。
標準化・ルールはりだし5S 見える化 コンサルティング
ですから、清掃のやりかたは、標準化して、そのルールをその場所にはりだしておくことになります。とくにトイレのように汚れやすい場所は必ず。そのようにすれば、清掃者がだれであっても、ルールは守られやすくなります。
掃除のおばちゃんに委託する場合でも、そのルールは社員がつくって、張り出しておきたいものです。以下にその事例を示しました。
よくできているルールとチェック表
このルールは非常によくできていて、お手本になると思いますので、以下に抜粋しました。
トイレ清掃順序
①ホーキで床を掃く。
②便器ブラシで便器を洗う。
③デッキブラシで床を洗う。
④水で良く流す。
⑤床の水を良く流す。
⑥トイレットペーパーの補充。
⑦当番日の名前の所にサインをする。
⑧次の当番の人に連絡する。
今から30年前につくられたものですが、実によくできていたと感心します。実際に工場全体の5Sレベルも高くなり、在庫削減などの改善も進んだ、優秀な工場でした。
使う清掃道具(ホーキ、便器ブラシ、デッキブラシ)を具体的に指定しているところ、トイレットペーパーの補充にふれているところ、サインをさせて責任をもたせるところ、そして次の当番に連絡することなど、ポイントをおさえた素晴らしい内容になっています。
掃除のおばさんにやっていただくときは、「⑧次の当番の人に連絡する」が不要となり、「チェック表」のお名前が1人になることだけで、後はそのまま通用します。ここまでやれば「本物の5S」になりますね。
良い事例を水平展開5S 見える化 コンサルティング
5Sは良い事例をこのブログのように紹介するだけで、水平展開(横展開)が容易です。以下の事例もおそらく上の写真を見せて、トイレ清掃ルールの見える化を促したものだったと記憶しています。
この事例も手順を抜粋します。
トイレ掃除手順書
①窓、ガラス拭き
②床の掃き掃除(水洗い)
③ベンキの水洗い
④トイレットペーパーの補充
⑤手洗い場、鏡の磨き
⑥石鹸、トイレボール補充
⑦ゴミを捨てる
この工場は「チェック表」がないタイプでしたが、掃除をやらなかったり、忘れが後で問題になりましたので、掃除が定着するまでの間当分は、「チェック表」は欠かせないと思います。
いかがでしょうか? たかがトイレ清掃ですが、奥が深いと思われませんか?