主要因(真因)を見つけだすプロセス5S 見える化 コンサルティング
正しく特性要因図をつくる難しさ(大変さ)を昨日のブログでご説明しました。そこからさらに、問題の「真因を見つけだす」後半のプロセスをご説明します。
要因は「単語」でつないでいくというお話をしました。そして最後はそれ以上単語が出てこない「飽和点」に達します。飽和点は「副詞」になります。下図の例ですと、「高い」「低い」という副詞になります。
主要因候補を選び出す5S 見える化 コンサルティング
要因の追究が一段落したら(後から思いついた要因はどんどん追記していきます)、主要因(特性に直接的に、あるいは深く結びついていると思われる要因)の末端(副詞)を、上図のように丸で囲みます。
主要因の選び方は、参加者の参画意識を高めるためにも、自由投票方式がいいかもしれません。そのうち票数が多いものから選んでいくのです。この段階ではまだ、主要因候補ですから心配はいりません。こわいのは、主要因を選び損ねることです。
通常主要因候補は20~30位です。10くらいですと、絞りすぎている、少なすぎると感じます。最初のうちは、20をひとつの目安にしていただきたいと思います。
だから少人数で頭のフィルター(常識や思いこみの世界)をとおすと、問題解決は難しくなるのです。この意味で特性要因図とは、小数エリート主義を排して、多数の衆知パワーで解決しようという大変民主主義的手法なのです。日本人の社会組織には向いています。活用しない手はありません。
主要因候補を文章にする5S 見える化 コンサルティング
上の大骨「機械・治工具」の部分では、主要因は次の3つです。この段階では単語をつないで文章に表現します。
①入力電圧が高い
②通電にムラがある
③空圧が低い
主要因解析表で検討する5S 見える化 コンサルティング
次にその主要因を、以下のような「主要因解析表」に書き写し、調査した上で、最終的に主要因であるかないかを判定します。以下の例では、「入力電圧が高い」という主要因候補については、主要因ではない × となっています。
実験計画表で確かめる5S 見える化 コンサルティング
ここで問題になってくるのは、主要因であるかないかは、実験をして確かめなければわからない、そして主要因なら、最適値(設定値)をどれだけにしたらよいかがわからないという場合です。
その場合は、次のような実験計画表をつくり、サンプル数nを決めて、設定値を変えて実験の上、主要因かどうかと最適設定値を確定します。
例1:電流が低い→最適電流値5S 見える化 コンサルティング
たとえば、「電流が低い」という主要因候補について、下図のように電流値の目盛を変えて実験してみたところ、最適値は47であることがわかりました。それより低いと強度が足りず、それより高いと「爆飛」(溶接部分が飛んでしまう)が起きてしまうのです。
例2:圧力が高い→最適圧力値5S 見える化 コンサルティング
次に「圧力が高い」という主要因候補について、やはり圧力値を変えて実験してみたところ(下図)、2.0が最適値であることがわかりました。それより低くても高くても、強度に問題があることがわかりました。
最適設定値組み合わせの決定5S 見える化 コンサルティング
このように実験して確かめ、次のように主要因の設定値を決めていきます。
①電流値=47
②圧力値=2.0
この例では、「スポット溶接の強度不良」という特性(不良現象)をなくすために、特性要因図を用いて主要因候補を絞り、その中から真の主要因を特定し、そのときの最適設定値を見いだすというプロセスをご説明しました。
問題解決人財の育成5S 見える化 コンサルティング
まるで推理小説を読むような面白さがあると思います。これによる成功体験をもった人は、自信をもって次々に困難な品質不良問題にチャレンジしていけるようになります。そのような人こそまさにえがたい「人財」ではないでしょうか?
生産現場は、コロナだ、売上減だ、人材難だなどと浮き足立つことなく、今こそ腰を据えてやるべきことをしっかりやる時期ではないでしょうか?
自力ですべての要因解析プロセスをこなすのは大変でしょうから、経営コンサルタントが難しい導入部を支援します。それに味を占めてから、着実に自立していただきたいと祈願します。