検査とは5S 見える化 コンサルティング
検査について改めて考えてみましょう。その目的とJISの定義は以下の通りです。
不良品の処理方法5S 見える化 コンサルティング
要は検査とは、品物の良品・不良品の判定を下すことです。良品と判定されればそのまま使えますし、不良品と判定されれば、次のどれかを選択します。
①返品:購買品・外注品は原則返品して、再度良品を納入してもらい再検査する。
②手直し:自社製品の場合は、手直しできる場合は手直し再検査する。できない場合は再作製して検査する。
③特別採用:不良品でもその状態が軽微である場合は、特別に良品としてそのまま採用する場合もある(たとえば顧客基準には合格しても、より厳しい自社基準には不合格などの場合)。
④等級落ち:A級品としては採用できないが、B級品として採用するなど、ランクを落として採用する。
いずれにしても、不良品を発生させたり、発見したりすると、余分な労力、コスト、リードータイムがかかり、悪いことだらけですから、不良はつくらない、つくらせないことが何より肝腎です。
このため「製品は工程でつくりこめ」といわれ、不良が発生しないように管理することが、ものづくりの品質管理の上で何より重要です。
検査の種類5S 見える化 コンサルティング
ここで検査の種類を下記のようにまとめました。
なぜ不良がへらないのか?
どこの工場も、どこの工程も、それなりの検査基準があって、それに則って検査をやっているはずなのですが、どういうわけか不良はふえはしても、へったという話をあまり聞いたことがありません。
それは検査は原則として全数検査を選ぶというポリシーが徹底していないのが大きな原因だと思います。抜取検査というのは確率検査であって、ある確率で不良が忍びこむのを許容する検査です。これでは不良をなくすことは、理屈上もできないのです。
また購買品や外注品を安易に”無試験・間接検査”にしたりするからです。本来「無試験・間接検査」というのは、相手の工程が十分に安定していることを実績や統計で確認した上で、期限を切って限定的に認めるものです。実態は検査する手が足りないので、手をぬいている場合もあるのです。
無試験・間接検査の採用条件5S 見える化 コンサルティング
下に「無試験・間接検査」の採用条件をまとめました。よほどものづくり力と実績が優れていないと、なかなか認められるものではありません。間接検査というのは、相手の検査成績表を確認して、合否を判断するという検査です。
全数検査を選ぶ5S 見える化 コンサルティング
全数検査を選ぶのは以下のような場合です。
①②は当然として、③を重視し、強力に推進すべきです。現在はコンピュータ・ソフトウェア技術が日進月歩していますから、コストパーフォーマンスのよい全数検査の方法が、見つけやすくなっているはずです。
特に長尺物のシートのキズや欠陥などは、人が目で見て発見できるほど生やさしいものではありません。これはコンピュータによる画像処理技術の独壇場です。機械に適切に教えておけば、必ず愚直にはねてくれます。見落としはまずありません。この技術の応用範囲を広げていくべきです。
トヨタは良品納入100%を前提にしている5S 見える化 コンサルティング
トヨタ工場に倉庫がない理由は、納入品はすべて100%良品だという前提で、受入検査をすることなく、ラインサイドに直納するからです。もし不良品が混ざっていたら、ラインを止めることになり、納入元の責任は大変です。
ですからトヨタの供給者(ベンダー)は、工場内で必死に全数検査を済ませてくるのです。
また工程間の仕掛品も同じ扱いです。100%良品として、工程内受入検査なるものはないのです。そのため「後工程はお客様」と言って、前工程はあたかもベンダーのような意識をもって、後工程のお客様に納品するのです。
目指せ全数検査5S 見える化 コンサルティング
「うちはトヨタじゃないから、そんな力はないよ」という言い訳をどれほど聞かされてきたことでしょうか。もちろんいきなりはムリでしょう。でも1歩また1歩とそれに近づいていくことはできるでしょう。
工場の検査のあり方はまさに、その工場のものづくり力をあぶり出します。顧客品質保証の観点からも、全数検査を目指しましょう。