太平洋戦争五つの誤算① 失敗の教訓から学ばない手はない

太平洋戦争 五つの誤算

太平洋戦争 五つの誤算』奥宮正武(朝日ソノラマ)を読みました。太平洋戦争の失敗を学び、そこから今後の日本を改革していく着眼点をえるうえでは、格好の良書として皆様にもご一読をお勧めします。

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太平洋戦争の失敗と反省の書は、世の中にたくさんあり、私もそのいくつかを読んできましたが、そのなかでもこの書は、客観性と本質性において白眉となると思います。

著者・奥宮氏の最適な経歴

その決め手になるのが、著者そのものの人間性経歴筆力、とくに経歴です。奥宮正武氏の経歴は、つぎのようにうってつけのものです。ご自身も、「あの戦争の大きな流れをほぼ正しく観察できる立場にいた」と書いています。

1909(明治42)年生まれ(この年生まれは他に、大岡昇平、淀川長治、太宰治、斎藤茂吉、土門拳、上原謙、松本清張、ピーター・ドラッカー、エリア・カザンなどの人たちがいます)。1941年の太平洋戦争開始時には、32歳です。

高知県生まれ。軍人閥の多い山口や鹿児島(薩長)生まれでは、客観性に欠けたり、遠慮が先立つかもしれません。

1930(昭和5)年、海軍兵学校卒(58期)。日本が本格的におかしくなる(全面戦争のきっかけ)となったのが、翌1931(昭和6)年の満州事変ですから、それ以前に、陸軍士官学校ではなく海軍兵学校を卒業した世代は、比較的”おかしな洗脳教育”を受けないですんだかもしれません。

④奥宮正武氏の経歴は、海軍航空隊の幹部と、大本営海軍参謀(海軍中佐)を歴任し、戦後は航空自衛隊幹部となり、退役時は空将でした。

昭和17年には、つぎのような作戦に参加しました。ミッドウェイ、アリューシャン、ガダルカナル、南太平洋海戦、ウエワク攻略、ガダルカナル撤収、「い」号、中部ソロモン。

太平洋戦争の4期区分

奥宮氏は太平洋戦争を、つぎの4つの期に分けています。

❶第1期:昭和16年12月8日~17年4月9日。陸海軍連戦連勝。

 

❷第2期:昭和17年4月10日~18年6月下旬。ほぼ互角の戦い。

 

❸第3期:昭和18年7月上旬~19年7月上旬。防戦一方。

 

❹第4期:昭和19年7月上旬~20年8月15日。敗戦処理。

とくに第3期末に実質的な敗戦のきっかけとなったのは、マリアナ沖海戦(昭和19年6月19~20日)でした。日本の空母機動部隊が米空母群に完敗し、再建が不可能になったからでした。

5つの誤算とは

そして奥宮氏は、5つの誤算をつぎのようにあげています。

①拙速な戦争準備での開戦

 

②総合戦力発揮への努力の不足

 

③条約無視の「戦陣訓」の制定

 

④大陸作戦偏重の陸軍軍備

 

⑤航空戦力誤信の海軍作戦

教訓から学び日本を再建しよう

これらの誤算一つ一つをふり返り反省し、その過ちから学び、日本を真の平和・繁栄・幸福国家として再建するための糧としたいと思います(PHP組織とは無関係です)。

目指すべき目標国は、スイスやスウェーデンのような、大国ではなくても豊かで繁栄し、世界から一目置かれている存在です。これらの国は防衛軍備のほうもしっかり充実させているので、単なる平和国家とのイメージとはちがいます。守るべきものはしっかり守り、言うべきことはしっかり主張するといった姿勢です。

要は日本という国家を充実させ、世界にも貢献し、喜ばれる存在になりたいということです。この本にはそのヒントとなる逆教訓が満載です。これに学ばない手はありません。